元夫に養育費を払ってもらえない場合は、財産開示手続をして差し押さえができます。【2019年民事執行法改正】

2019年5月10日の参議院本会議で、改正民事執行法が成立しました。

これによって、養育費の不払い問題が改善される可能性があります。

でも、ニュースを見ただけだと、「結局自分にどう関係があるの？」と思いますよね。

この記事では、今回の民事執行法改正について、バツイチ子持ちやシングルマザーが知っておくべき点をピックアップして解説します。

2019年の民事執行法改正のポイント

2019年の民事執行法改正において、バツイチ子持ちが知っておくべきポイントは以下の通りです

これまでは、「債務者（元夫）が逃げ（養育費を支払わない）た方が得をする」という「逃げ得」状態だったのですが、これを正すために今回の改正が可決されました。

金銭債権についての強制執行の申立てに必要とされる債務名義であれば、どの種類の債務名義でも財産開示手続の申立てをすることができるようになります。

債務名義とは、確定判決（「○○は××に対して100万円を支払え」というような確定した判決）に基づいた公的な文書のことです。（※細かく説明すると少し違うのですが、ここではわかりやすさを優先して、ニュアンスが伝わるように書いています。）

これまでは、銀行口座を移動したり、失業してお金がないと言い訳をしたりして、元夫が養育費支払いを逃れようとするケースがありました。

しかし、今回の改正で、金融機関や公的機関から以下の情報開示をしてもらえるようになりました。

これによって、元夫に養育費の支払い能力があることを証明し、養育費の請求をすることが可能となります。

また、財産開示請求に対して、元夫が正当な理由なく執行裁判所の呼び出しに応じなかったり、虚偽の開示をした場合の罰則が強化されました。

改正内容は以下の通りです。

これによって、元夫が財産開示や養育費請求を拒んで逃げ続ける事ができなくなります。

今回成立した改正民事執行法は、1年以内に施行される予定です。法改正が可決されたのが2019年5月10日なので、施行は2020年の5月頃でしょうか。

バツイチ子持ちにとって一番気になるのは、「民事執行法が改正された後に、これまで不払いだった養育費をさかのぼって請求できるの？」という点ですよね。

残念ながら、これまでに養育費をさかのぼって請求するための判決が出た例は少ないです。

そのため、今回の法改正で、現在養育費の不払いに悩んでいる方の問題が直接解決されるわけではなさそうです。

これから離婚をするかもしれないという方は、知っておきましょう。